今年の講師陣は以下の方々です。
土木
篠原 修 (政策研究大学院大学)
小野寺 康 (小野寺康都市設計事務所)
中井 祐 (東京大学)
西村 浩 (ワークヴィジョンズ)
建築
内藤 廣 (東京大学/内藤廣建築設計事務所)
熊倉 洋介 (熊倉洋介建築設計事務所)
西沢 立衛 (横浜国立大学Y-GSA/西沢立衛建築設計事務所)
都市
川原 晋 (首都大学東京)
ID
南雲 勝志 (ナグモデザイン事務所)
造園
山崎 亮 (studioL)
歴史
後藤 治 (工学院大学)
今回の対象地は茨城県の牛久です。そこは日本最初のワイナリー、シャトーカミヤという近代建築や谷津、水系、森林といった豊かな自然のある地域です。しかし高度成長期以降はベッドタウンとして開発され中心市街地には自然は少なくなってしまいました。また公園や遊歩道等が上手く連携されていないことや空き地が目立つことといった問題を抱えています。 WSの課題は2段階設定しました。第1段階では対象地域のパブリックスペース群の配置計画をし、第2段階では指定された二つのエリア(シャトーカミヤを含むエリアか市役所を含むエリア)のうちの1つを、第1段階の配置計画を実現するきっかけとして位置付け具体的にデザインするというものです。
GSDWのOBや今回のWSの参加者を中心に7月上旬から約2ヶ月間模型制作を行いました。コルクシートのコンター、航空ベニヤの街区、檜に柿渋を塗った住宅、800本の街路樹、作り込んだシャトーカミヤ等非常に多くの行程がありましたが、沢山の人の力によってなんとかWS開始直前に完成しました。
バスを2台貸し切って総勢62人で設計対象エリア(シャトーカミヤ、公園、市役所)と周辺の自然(柏田川、牛久沼)を、牛久のまちづくりに携わっている二井さん(国士舘大学)の解説して頂きながら見学しました。夜はシャトーカミヤでBBQ、大いに盛り上がりました。
各グループでチューターと打ち合わせをした上でエスキスに向けて準備をしました。そして初めてのエスキス。講師からのアドバイスでアイデアを膨らませることができたグループもあれば壁にぶち当ってしまったグループもありました。
朝は、後藤さんの重要文化財の意味とその活用についての講義と、内藤さんの体験談を交えた建築についての講義を受けました。この日のイベントは二つの講義だけだったのでお昼から牛久にフィールドワークに行ったグループもありました。
午前中に南雲さんから日向の多発的なまちづくりについて講義がありました。夕方には今回初めて講師を引き受けて下さった山崎さん・熊倉さんのエスキスです。谷津やコミュニティーといったものにたどり着いて安心してしまい、それらの現代的な意味について深く掘り下げられていないと指摘されたグループが多かったです。
講評をして下さったのは内藤さん・中井さん・西村さん・山崎さん・後藤さん・南雲さん・川原さん・二井さん・福井さん(東京大学)です。中間講評は前回よりも1日遅くに設定されていたので、この時点で具体的な方針を定めることが求められました。講師から各チームの提案を実現するために必要とされる『所有』『運営』について質問が多かったのが印象的でした。
中間講評も終わり焦りと疲れが見え始めた時期です。エスキスでは内藤さんからは人々がこの場所に来る動機がどんなものなのか現実的に考えてみたらというコメントを、小野寺さんからは市民に対して責任を持ったデザインをして欲しいというコメントを総評として頂きました。
最終結果は1位G group、2位B group、3位H groupでした。そして全グループが牛久での市民発表会をすることになりました。
今回は新しい4人講師の方や牛久のまちづくりに実際に関わっていらっしゃる二井さん・福井さん・牛久市役所の職員さんが協力して下さったことや前回まであまり参加のなかった大学の学生の参戦によって今までとはひと味違ったWSになったと思います。 非常に難しい課題だったにも関わらず、課題の枠を越えた多様な提案が出てきました。しかしその分、事務局が用意した資料では足りずに参加者に苦労をかけてしまったという反省点もありました。そのような成功失敗を積み上げながら、牛久でのWSは参加者側・運営側、そして実際の街が年々成長していくものになる予感がしました。 最後に、学生の提案に対して真剣に議論を投げかけて下さいました講師の皆様、仕事帰りになかなかまとまらないグループの道標となって下さいましたチューターの皆様、準備運営に関わって下さった学生の皆様、本当にありがとうございました。来年もまたよろしくお願いいたします。