2010年4月、『地方におけるデザインとは?』というテーマのシンポジウムが開かれ、パネリストであるstudio-Lの山崎さんが、ご自身の手掛けた島根県海士町の第4次総合振興計画についてお話し下さいました。海士町では、『島の幸福論~海士ならではの笑顔の追求~』 という独自のテーマを掲げ、積極的なまちづくりを展開しているというのです。このお話を伺い、「実際に海士町を訪れたい!」という強い思いが、私たちの中で込み上げてきました。
今回の見学会では、海士町に足を運び、島の生活に触れ、さらにまちづくりに対し主体的に取り組まれている住民の方々と交流することによって、「海士ならではの笑顔は一体どこから生まれて来るものなのか」、探ってまいりました。
講師:
山崎亮さん(studio-L代表)
西上ありささん(studio-L)
山内道雄さん(海士町長)
松前一孝さん(海士町教育委員会 地域共育課 課長)
下野さん(環境チーム)
ちんちくりんのみなさま(産業チーム)
Iターンの若者のみなさま
参加者:関東13名、関西3名、計16名
13:15~ 海士町のまちづくりについて(松前課長さん)
まずは役場職員の意識改革からはじめた海士町。交流促進、地産地商、産業創出などを進めています。AMAワゴンを活用した、島の子供たちと都市の学生との交流などおもしろい取り組みも行っています。
13:45~ 質問タイム&町長さんのお話
自身が先頭に立って改革を進めるという強い意志の元、まずは自ら減給を行い、職員の意識改革、さらには町民の意識改革にまで波及させていった町長さん。強いリーダーシップと職員の団結力の強さがまちを変えていきました。
114:00~ 海士町は時代の最先端(山崎さん)
2030年にはほぼ全ての都道府県が人口減少すると予測されている現在、既に人口減少を迎え、それに対するまちづくりを着々と進めている海士町は、時代の最先端をいっているとのこと。
14:15~ 住民のまちづくりへの参加について(西上さん)
第3次総合振興計画(キンニャモニャの変)では、ハードの部分のものづくりは進んだものの、住民の参加は十分ではありませんでした。その反省も踏まえ、第4次総合振興計画では、計画の策定段階から住民がまちづくりに参加し、実行段階においても結局的な住民の協力が得られました。
見学会参加者は海士町総合振興計画「島の幸福論」、別冊「海士町をつくる24の提案」をいただきました。紙質にもこだわっており、役場の方がよく使う本誌は真っ白でツルツル、一方、子どもやお年寄りも手に取る別冊は、やさしい色合いで画用紙のような 手触りでした。
15:00 終了
15:30~ 産業チーム「ちんちくりん」の活動説明と竹細工体験
ちんちくりんのみなさんは、人の管理が行き届かず荒れてしまった竹林を再生させようと、間伐した竹で竹炭や竹細工をつくり活用しているそうです。
竹割りチームは、竹を専用の道具等を使い、縦に割っていきました。水分が残っている竹はなかなか割れないらしく、最初はみんな苦労していましたが、最後のほうは慣れた手つきでどんどん割ることがでできるようになりました。
22:00~ 懇親会
1日目終了。おつかれさまでした。
~8:00 各自朝のお散歩。山の上からはいい景色が。
ただ、朝からもう暑い!
8:00~ みんなそろって朝ごはん。出発までのんびり。
13:30~ 総合振興計画環境チームの活動説明(下野さん)
下野さんはこれまで長らく建設業のお仕事をされており、工事を行う上でやむを得ず海 士の自然を壊さざるを得ないという苦しい立場でしたが、そこから一転、自ら環境を整備する会社を企業し、現在はIターンの若者たちの力も借りて、環境に対する取り組みとなれば何でも行っています。
14:40~ 参加者の感想発表
参加メンバーの見学会に対する感想は様々でしたが、全員が共通して感じたのは、海士 町に住む方々が自らの生活をおもいっきり楽しんでおり、また私たちのようなよそ者をあたたかく迎えいれてくれるホスピタリティにあふれているということです。受け入れる海士町側が、Iターンなどで島を訪れたよそ者に対して、決して定住を強要しないため、プレッシャーを感じず、このようにのびのびと暮らすことができているのではないかという意見もありました。
15:40 山崎さんを囲んで
船の到着を待つ間、山崎さんを囲んでお話を伺いました。現在の社会に対して、大きな 船に乗っていては自分の思うことができないというのであれば、自ら小さな船をつくり、漕ぎ出しましょう。荒波に負けず進んで行けば、小さな船の仲間が集まり、大きなこともできるかもしれません。