参加者諸君へ
中高、大学前期の8年間、駒場に通っていた僕にとって渋谷の街はホームグラウンドだった。 昭和30年代のことである。その頃の渋谷は、言ってみれば三流の盛り場で何処か田舎っぽく、静かでのんびりとした学生の街だった。 変わり始めたのはパルコが出来、NHKの方へ街が伸びて「文化」の香りが注入されて以来のことである。次に、ガングロや中高生が街を謳歌するようになって、 大人が締め出され始めた。何時の間にかハチ公前広場は脇役に追いやられ、スクランブル交差点が主役の座に躍り出た。のんびりから自己表現、自己表現から群衆の流動へ。 今の広場は単なる待ち合わせの場となっている。これから渋谷は何処へ向かうのか、それを予測しつつ、しかしそれに流されない提案を待つ。
東日本大震災の傷が癒えぬうちに熊本地震が起きました。 この国は休みなく何かが起きてくる所です。豊かな四季や実りがあると同時に、時に自然は人の暮らしを脅かすおそろしい面も覗かせるのです。 都市の享楽はこうしたことから無縁のようにも見えます。しかし、都市に遊ぶ人たちのどことなく不安げな顔を見ていると、 彼らの心にも自然のおそろしさが染み込みつつあることが分かります。どこかで心休まる居場所を求めているのです。 課題となる渋谷は大きく変貌しようとしています。これから既存市街地の中心に超高層が6棟も立ち上がります。 こんな事例は他にはありません。誰も見たことがない都市が出現しつつあります。巨大開発と若者たちを惹き付ける渋谷の雑踏ははたして両立するのでしょうか。 その賑わいの中に居心地の良さはあるのでしょうか。街のユーザーである若者からの提案を楽しみにしています。